旅館・宿の改修設計ポイント > 空間構成の組み合わせ
■旅館・宿の空間構成について
・新築の場合であれば、今の時代に即した空間創りをすることは容易なことではありますが、既存建物を改修して活用していくことを考えたときには、「全ての希望要素」を取り入れるというわけにはなかなかいかないのが実状です。
一番課題となるのが、「諸室の構成」と「面積規模」のバランスをどのように捉えて、どこに優先順位をつけておくかということになると思います。
詳細に関しては、案件ごとに「その旅館空間の特徴(メリット・アピールポイント)」や「不足要素」などを見極めた上で、企画・立案していくことになるので、一般論として「固定的要素」を述べることはなかなか難しいことですから、ここでは省略いたします。
とはいえ、「諸室空間構成」に関して、いくつかのパターンと、それぞれの「必要要素」「メリット・デメリット」といったものがありますので、簡単に≪要素≫を紹介しておきたいと思います。
■空間構成1「客室+動線+水まわり(風呂・WC)」
・旅館として、必要最小限で室内空間を作り上げたときのパターンです。
「風呂やWC」といった水まわりは、すべて客室外に共用として設置する形式です。この場合は「部屋だしの食事」が基本となります。
この空間構成で成功する宿となるためには、下記の条件が必須となります。
*歴史的に必然性の高い宿である場合。
*庭園など自然景観が特に優れていること。(せせらぎのある川辺、苔むした庭園、自然美あふれる景色)
*風呂が温泉であり、尚且つ清潔感と雰囲気のある温泉空間となっていること。
・顧客にとって「WC・洗面」の機能が共用部のみにしかない、という形式は大きなデメリットとなってしまいます。客室内に「WC・洗面」の機能を設置する(空間構成2)改修は宿にとって必要条件と考え、考慮しておきたいものです。
■空間構成2「客室・WC+動線+風呂」
・現在「新築計画」として旅館・宿を計画する場合の必要最小限の空間構成となります。
各客室内に「WCと洗面」の機能を配置した形式です。
この空間構成で成功する宿となるための条件は前記「空間構成1」と同じ条件が必須要素となります。
・旅館全体の面積規模によって、特徴が変わってきます。玄関・廊下などの動線やお風呂などの共用部の面積規模が小規模であれば、より≪空間構成1≫と同じような条件が必須となってきます。
ある程度ゆとりのある規模を有しているのであれば、「内部空間創造型」の内装計画にて魅力創りが可能となります。
*改修計画の方向性については、「自然環境活用の可否」もご参照ください。
■空間構成3「客室・WC+動線+風呂+広間(食事)」
・空間構成2に加えて、「広間」など食事スペースを部屋として確保してある空間構成です。
団体客対応が可能となる空間形式となります。
・顧客ニーズにあった魅力づくりを考えたときにポイントとなるのが「広間」の在り方となります。基本的には食事スペースとしては、「部屋だし」のほうが宿泊客にとって喜ばれる傾向があるもの。
単に「大広間」を食事スペースとして提供しているだけでは、どんなに料理がすばらしくとも評価につながらないことも多いのです。
「広間」の利用頻度を考慮した上で、規模が広すぎると考えられるようなら、玄関・廊下空間と一体的になった「憩いの空間」として改修するのも大きな魅力となります。
また、広すぎる広間は、「印象が低下」する要素となるので、「囲炉裏」や「間仕切り」「布」などの様々なアイテムを上手に活用して、空間を小部屋感覚に改修することも大きな改修ポイントとなります。
■空間構成4「客室・WC+動線+風呂+広間+憩いの空間」
・新築の旅館・宿を計画する場合に、取り入れてく基本的な空間構成です。
この場合「広間」は、共有空間として様々な趣向をもとに空間デザインしたものが考えられます。単に「広い畳の空間」という形式だけでは現在の宿泊客にとっては、あまり好まれない要素となっているのです。
また「憩いの空間」という要素も旅館の魅力・個性を創り出す上では大切な要素となっています。
宿泊に来た方々にとって、「客室」だけにしか・・居場所が無い・・ということはとても残念なこと。
旅館のいたるところに、「庭や自然を眺めていたり」「旅館そのものの雰囲気を感じられたり」する・・ちょっとした小スペース(憩いの空間)があると旅館全体のイメージが大幅に良いものへと繋がっていくのです。
また、温泉の楽しみ方にもバリエーションを持たせる意味でも、温泉空間と接した位置に「憩いの空間」を創造するのも大きな魅力となっています。
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